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どうやって子どもに金銭感覚を持たせるか?

前田診療所 奥田麻子

T.幼い子どもに既製品のお菓子が必ず必要か?

1.幼い頃から子どもの目に焼きついている、
  『親がお菓子をほしいままにポンポン買っている』という光景、ないし現実

→既製品のお菓子を、金を出して買うということは、子どもにとっても見るだけで体得することが簡単な技術であるし、実際にやってみたいことでもある。お菓子を買うことを、子どもに制限してしまうことは、『大人は好きなものをいくらでも買っているのに!』というふうに、子どもに大人の理不尽さを葛藤させてしまうことがある。


<それらを見せない方法、気がつかせない方法>

@既製品のお菓子はおじいちゃんおばあちゃん、他人がくれるものということにして、 幼児期をスタート
・・・それによって、おじいちゃんおばあちゃん、よそのおばちゃんのことがいっそう好きになる、うれしくって心底から『ありがとう』が言える

A既製品のお菓子を『遠足のときなどに食べるもの』と、特別のものとして格をあげておく
・・・些細なお菓子によってのしあわせ度が、そうでない場合よりもかなりアップ

Bできれば、普段からゼリーやプリンなどだけでも、家で作って、『おかわりいくらでも・・・!』という、家で作るお菓子のメリットを感じさせておく


2.ふんだんなお菓子の効用

@既製品のお菓子中毒 お菓子があることが当たり前で、お菓子がないとさびしい・・とか、既製品のお菓子がないことに対して不満をもつなど
 
A不経済性 下の子どもは体が小さくても、必ず上の子に負けまいと食べるし、兄弟で食べると、競争意識で食べるため、量に対して満足しにくい
→お菓子代としての支出は、子どもが二人目にして、二倍以上になってしまう


3.子どもにとって、もともとの補食(おやつ:お十時、お三時)の意味は?

子どもは、おなかいっぱい食べ切るよりも、半分ほどおなかに入ったあたりで、食べることよりも次の遊びに思考が移っているものである。また腹いっぱい食べてしまうことは、腹部が重く、動きにくくなるので一度に満腹まで食べないのが、子どもの自然な摂食状況である。したがって日ごろから思考が活発で、意欲やエネルギーの充満している子は、十分に食べないために、途中でおなかがすくのは当然のことである。





U.日々の買い物について

・・・子どもに親の買い物を見せる

@物を買うのに、反射的即断で買わないこと

・・・・夕食の材料が足りなければ、すぐに買いに行くべきか
冷蔵庫ゆえに、食材の品質ゆえに、保存性のよくなった『現代の台所事情の買い物』とは?
・・・できるだけ、何日分かの献立を考えて、まとめて一緒に買うようにする
=『毎日新鮮なものを買う』よりも、『新鮮なものを、保存の利くものと組み合わせて買う』方がよい

A少ない時間であわてて買い物をしないこと
よく考えて買い物をしていることを見せること

Bスーパーと専門店との買い物の仕方の差異を見せておくこと
店員さんとの会話の仕方 品物の見定め方、商品知識

C冷蔵庫の中、乾物の棚を空っぽにしてから買うようにしていくことで、食材の購入というのは、思いつきのお楽しみショッピングではなく『補充』であるという事実を見せておく
 
D『買い物をするということは、すなわち金が出て行く』ということであるという認識をあらたに!
 

* 買い物の回数を減らす ということは、単に経済的に節約できるのみならず、時間や労力までが、相当節約されることになる。夕方買い物に行かなかった時間で、子どもとゆったりしたひと時が、ないしは夕食の準備ができる。子どもと食事を作ることは、いろいろな意味でとてもよいことである。

・・・参考資料3.仕事をしながらの家事をどうやって育児とかみ合わせるか





V.おゆずりのおもちゃ、服の活用法

@譲ってもらった人への感謝を教える
 
Aその人が大切に扱ったから、こうして譲ってもらえたことを教える
 
B上の年齢のお友達からもらった服などで、『僕もおにいちゃん、おねえちゃんになったんだ!』という幸せを持たせる
 

* 『お譲りをいただいて、本当によかった、うれしかった』という話をすると、またいろんな人が、新たにいろいろなものを譲ってくれることにつながる





W.品物以外にも幸せや知識を買って『お買い得』にする方法

@ あれこれ比べ、よく考えて、一番質のよいもの、または自分が 一番幸せになれるものを良く選んで買ったときに、『幸せ』も一緒に買うことができるのだ ということを教える
 
Aいろいろな物と見比べて、知ったこと、また店員さんに聞いて、得た知識もまた『お金を出して買ったもの』なのだということ
 




X.子どものためになる節約生活とは?

@親がいろいろなものを最後まで大切にしてみせる

マーガリン、砂糖、小麦粉、・・・輪ゴムを大事に
物を直して使う
使えるものを家の中でリサイクルする

A買い物の一つ一つを考えてして購入していることを見せる
質と値段のつりあい ・ ・・100円ショップが却って不経済なこともある ということも経験させる(安いほうがいいとか得だとかいう問題ではないということ。買い物は、成績表などと同じように、『値段』という『数字』で勝負するのではなく、その質を考えること、質と金額とのバランスを考えることが大切である)

B必要は発明の母、貧乏??は工夫の母
・・・『貧しいものは幸いである。彼らは・・(私はクリスチャンではないけれど、上手にやれば本当にそうなると思います)。』

* お金に貪欲なまでに執着心を見せる『貧乏』や、いろいろなものに異様に渇望してしまう『貧乏』と、お金や物を大事にするようになる『貧乏』は、どこが違うのか?
 子どもの余裕のあるなしと、柔軟性や機転にかかってくる。本当はそこまで貧乏ではなくても、子どもの子ども社会における支障のない範囲の節約や、また子どもらしい願望はちゃんとかなえることで子どもに精神的余裕を持たした状態で、親の適切な倹約をみせること。
 子どもが、子ども集団で自信がないなどのときに、節約を共用してしまうとますます自信がなくなっていってしまう。
 金銭的にある程度の余裕があると、気分的にも余裕が残るため、大人でもよく考えて買い物ができる。また考えながらお金や物を徹底して大事にすることができるし、子どもにも余裕を持ってそれらを教えることができる。(大人でも本当に金銭的に余裕がないと、つい今の、買えるうちにこれを買っておかねば・・・といって、変な買い物をしてしまうものである。)